混合ワクチン接種のサイクルが変わります!(毎年注射しなくても大丈夫なの?!)
従来、犬猫の予防接種に関しては初年度に複数回の接種を行った後、1年毎に追加接種が行われてきました。感染症予防のために大切な事ですが、近年、ワクチンでの有害事象が問題視され、ワクチン間隔の延長の是非が議論されるようになり、愛犬、愛猫のワクチン接種について見直しがされてきております。以前より、欧米では混合ワクチンに含まれる各病原体に対してのワクチンをコアワクチンとノンコアワクチンとに分類し、コアワクチンについては 3年目(2歳)以降のワクチン接種間隔を3年に1度にすることが一般的です。また、ノンコアワクチンはその伝染病に感染する可能性のある動物のみに接種することとされております。近年、国内でも獣医学研究会や学会で様々な論文を根拠として、接種間隔の延長が提案されてきております。より詳細なワクチンガイドラインについては、世界小動物獣医師会(WSAVA)サイトでも閲覧できます。
http://www.wsava.org/sites/default/files/VaccinationGuidelines2010.pdf
当院は、国内でのワクチン接種見直しの動向を鑑みて、世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインを基にワクチン接種プログラムの見直しをしました。
基本的には初年度の予防が済んだ後、翌年から1年毎にコアワクチンに対する抗体検査を実施します。発症予防に必要な抗体がなくなったらコアワクチンの追加接種を行います。ノンコアワクチンは毎年追加接種します。このことは犬猫の体への負担を軽減し優しい予防になります。
状況によりこの方法を行うことが困難な場合はその子にとって良い方法を相談させていただきますのでご安心ください。
犬の抗体検査は院内で行います。
詳細は以下のサイトをご参考ください。
http://vaccicheck.jp/
猫の抗体検査は外部の動物専門の検査機関で実施します。
接種方法をまとめると以下のようになります。
【犬】
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初年度生後2ヵ月齢から4ヵ月齢の間にワクチンを2~3回接種する。
(最終接種を16週齢以降とする) - 最終接種後、4週間以上の間隔をあけて血液検査で抗体チェックを行う。
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検査の結果、抗体値が感染予防の基準を満たしてれば1年毎に抗体検査を行う。
- コアワクチンは抗体値が基準値以下になったら追加接種します。
- ノンコアワクチンは1年毎に追加接種します。
*採血が困難な犬の予防については相談させていただきます。
【猫】
- 8週齢以降で1回目のワクチン接種。
- その後4週間の間隔をで2~3回追加接種。
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その後は1年毎に抗体検査を行い必要な時期に追加接種を行います。
*採血が困難な犬の予防については相談させていただきます。
【コアワクチン】
すべての犬猫に接種すべきワクチンで、全国で発生している重篤な疾病から動物を守るべきもの。
◎犬:犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルス2型
◎猫:猫汎白血球減少主ウイルス、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス
【ノンコアワクチン】
ワクチンで予防可能な病原体で、その病原体に暴露される危険性のある個体に接種すべきワクチン。種類により1年毎か3年毎に追加が必要です。
◎犬:レプトスピラ、パラインフルエンザ
◎猫:猫白血病ウイルス、クラミジア
ご不明な点等がございましたら当院までお問い合わせください。